オンラインでふりかえりをするときのツールの選び方
ふりかえりの手法そのものは、本や研修で学べます。KPT、Fun Done Learn、YWT、タイムライン。やり方は分かった。
困るのはその次です。チームがリモートで、目の前に模造紙も付箋もないとき、何を使って進めればいいのか。
多くのチームは Miro や FigJam のようなホワイトボードツールを開くと思います。ただ、開いたところに出てくるのはまっさらなキャンバスです。どこに枠を引いて、付箋をどう並べて、時間をどう区切るのか。手法は知っていても、それを白紙の上に組み立てるのはまた別の作業です。
この記事では、オンラインでふりかえりをするときの選択肢を2つに整理して、どちらがどんなチームに向くのかを書きます。
選択肢は大きく2つ
| 汎用ホワイトボード | ふりかえり専用ツール | |
|---|---|---|
| 例 | Miro、Mural、FigJam | Kizuna など |
| 準備の手間 | 毎回キャンバスを組み立てる | 手法を選ぶだけ |
| 自由度 | 非常に高い | 手法の範囲内 |
| 進行の支援 | 自分でやる | ツールが促す |
| 向くチーム | ファシリテーションに慣れている | これから習慣にしたい |
1. 汎用ホワイトボード
付箋を貼る、動かす、グルーピングする。ふりかえりの動作をそのまま再現できます。ファシリテーターが慣れているなら、これが一番自由です。
一方で、自由であることはそのまま準備の重さになります。まっさらなキャンバスは、手法を知っているだけでは埋まりません。 枠を引き、見出しを置き、時間を計り、「そろそろ次に進みましょう」と声をかける。全部が人間の仕事です。テンプレートを作り置きしても、参加人数や話したいテーマが変われば毎回どこかを直すことになります。
結果として、ファシリテーターが不在の回はだいたい止まります。
2. ふりかえり専用ツール
手法があらかじめ用意されていて、選べばその形で始まります。キャンバスを組み立てる作業がない代わりに、用意された手法から外れたことはやりにくい。
「ふりかえりを習慣にしたい」段階のチームには、この制約がむしろ効きます。 毎回の準備がいらないので、担当者が忙しい週でも飛ばさずに済むからです。
選ぶときに見るところ
ツールを比べるときは、機能の多さではなく次の5点を見てください。
- 準備に何分かかるか — 毎回15分かかるなら、いずれ誰もやらなくなります
- 参加者が説明なしに書けるか — 初回に操作説明が5分必要なら、新メンバーが入るたびに5分かかります
- 他人の入力が見えるタイミングを選べるか — 書いている途中から見えると、率直さが減ります
- 時間を区切る仕組みがあるか — 発散が終わらないふりかえりは、だいたい何も決まらずに終わります
- 前回の内容にすぐ戻れるか — 前回決めたことを確認しないふりかえりは、同じ話を繰り返します
このうち最初の2つが、続くかどうかをほぼ決めます。 残りは後から工夫できますが、準備の重さと操作の分かりにくさは、回を重ねても軽くなりません。
ふりかえりが続かない理由は、たいてい手法が悪いからではありません。準備する人の負担が、その人の善意でしか支えられていないからです。
続かない原因は、ツールの前にある
ここまでツールの話をしておいて逆のことを書きますが、ふりかえりが定着しない原因の多くはツールではありません。
- 日程が固定されていない(毎回調整するので、忙しい週に飛ぶ)
- ファシリテーターが1人に固定されている(その人が休むと開催されない)
- 出た意見が次に繋がらない(「話して終わり」が続くと、参加の動機が減る)
この3つに心当たりがあるなら、ツールを変える前にそちらを直したほうが効果があります。逆に言えば、**ツールを選ぶ基準は「その3つを起きにくくするか」**です。日程を決めやすいか、誰でも進行できるか、前回の記録がすぐ出るか。
Kizuna はどこに当てはまるか
Kizuna は後者の「ふりかえり専用ツール」です。手法を選ぶとその形で進行が始まり、参加者は招待 URL を開くだけで参加できます。白紙から組み立てる作業がありません。
とくに次のチームを想定して作っています。
- ふりかえりをこれから習慣にしたいチーム
- ファシリテーション役を持ち回りにしたいチーム
- リモート中心で、全員が同じ熱量で発言しにくいと感じているチーム
逆に、ファシリテーターがすでに手法を自在に組み替えていて、毎回設計から作りたいチームには、汎用のホワイトボードのほうが合います。道具は、いま困っていることに合わせて選ぶのが一番早いです。
ふりかえり手法はふりかえり手法一覧にまとめてあります。どれが自分のチームに合うか分からないときは、状況別に整理してあるので参考にしてください。